このたび当社代表取締役CEO 西川が、2025年4月20日発売の米国「TIME」誌特集「TIME 100 世界で最も影響力のある人物たち」において、「CEO HORIZON 未来のビジネスアイコンを探る」セクションに選出されたことをお知らせいたします!
本特集は、グローバルに影響力を持つ100名の卓越した人物を紹介するもので、当社CEOは変革期のビジネス界において独自のリーダーシップを発揮し、業界に新たな価値をもたらした功績が評価されました。

TIME 100
The World’s Most Influential People
Demis Hassabis
By Jennifer Doudna
+99 more
Date: April 28, 2025
「CEO HORIZON – Exploring Tomorrow’s Business Icons」
BUSINESS LEADERS TODAY ARE RESHAPING ENTIRE INDUSTRIES
Their stories provide much-needed guidance for anyone looking to overcome obstacles and succeed in challenging times. From confronting economic uncertainty to seizing new opportunities, their insight offers valuable lessons on resilience, adaptability, and innovation.
直訳はこちら
私はこれまで、自らの人生を通して「常識の向こう側」に挑んできました。日本の繊維商社でキャリアを積んだ後、2000年に独立し、アパレルメーカー「やまぎん」を創業。当時まだ日本ではほとんど注目されていなかった“サステナブル素材”の開発にいち早く着手しました。
きっかけは、2012年に目にしたあるアウトドアブランドの広告。「自然と共に生きる」というメッセージに深く心を動かされた私は、繊維業界の裏側、大量生産、大量廃棄、そして環境負荷の現実に真剣に向き合うようになったのです。
私はペットボトルや廃漁網、裁断くずなどの廃材を原料とした再生ポリエステルやナイロン、コットンの開発に挑みました。当時はほとんど理解されず、採算も取れない状況が続きました。しかし「世界の潮流は必ず変わる」と信じ、私は粘り強く挑戦を続けました。
当時はまだ“サステナブル”という言葉すら一般には広まっておらず、素材の意味や価値を理解してくれる顧客も少ない時代でした。しかし私は、10年先、20年先に必ず世界が変わると信じ、誰よりも早く、誰よりも深く、素材革命に取り組みました。
それでも私は信じ続けました。やがて2015年、国連がSDGsを採択したことで世界の潮流が変わりはじめ、私たちの素材も再評価されるようになっていきました。2019年には世界最大級の素材展示会「プルミエール・ビジョン」に出展し、サステナブルサプライヤーとして海外のラグジュアリーブランドとの取引が始まりました。いつしか売上の7割が海外へとシフトし、事業の重心も“日本”から“世界”へと変わったのです。
だが私は、素材を変えるだけでは足りないと気づきました。もっと本質的に、社会全体の構造そのものを変えなくてはならない。そのとき、私は次のステージを見据えました。「廃棄物そのものを、エネルギーに変える」こと。そこから、私の新たな挑戦が始まったのです。
■The present
私が創業したBIOTECHWORKS-H2は、単なる環境技術ベンチャーではありません。私たちが掲げるのは、“世界のごみをエネルギーに変える”という構造的かつ本質的な改革です。これにより、廃棄物、エネルギー、CO₂排出、地方経済といった、複数のグローバル課題を一つの技術で解決することを目指しています。
この挑戦の出発点は、「ごみは分別できない」という厳然たる現実の認識にあります。私たちは現場を見てきました。家庭でも企業でも、完璧な分別は幻想にすぎません。だからこそ私たちは、“分別を前提としない廃棄物処理”という新たな領域に踏み込みました。
BIOTECHWORKS-H2の最大の技術的特徴は、「前処理工程の最適化」にあります。私たちは、IoTとAIを活用して投入される廃棄物の成分や含水率をリアルタイムで分析・制御。廃棄物を機械的に選別し、最適な組成へと自動調整したうえでガス化炉へ送ります。このプロセスにより、リサイクルが困難な有機性廃棄物から高効率で高純度の水素を生成、CO2もすべて回収し副産物として出るスラグや金属も再利用可能で、実質的にゼロエミッション“究極のケミカルリサイクル”が実現しています。
さらに、私たちは単なるエネルギー転換技術にとどまらず、「REBORN」というデジタルプラットフォームを開発しました。これは、廃棄物の発生から処理、水素生成、CO₂削減量までをリアルタイムで可視化するシステムです。すべてのトレーサビリティを担保し、企業のESG評価や都市の脱炭素政策、さらにはカーボンクレジットの信頼性までを支えるインフラとして機能します。
このREBORNの強みは、技術そのもの以上に「透明性」と「社会実装性」にあります。私は技術の力で未来を変えたいのではありません。行動で“社会が動く理由”に変えたいのです。
私が信じているのは、「未来は技術で決まらない。行動と設計で決まる」ということです。私はその設計者であり、最初に一歩を踏み出す者でありたいと思っています。
■For the future
私の目指す未来は明確です。それは、「世界中のごみ処理場を、クリーンエネルギーの生産拠点へと変える」ことです。これまで“コスト”でしかなかったものを“収益と価値”に変換し、あらゆる地域が自律的にエネルギーを持ち、本当に意味での循環を実現する。それが私の描くビジョンです。
このビジョンの核心には、“中央集権型のエネルギー社会から、分散型・自立型のエネルギー社会への転換”という思想があります。化石燃料に頼らず、輸送も不要なローカル型の水素社会=産油地として、世界中に点在させる。その先には、エネルギー争奪による戦争も、価格高騰による貧困もない未来が待っているはずです。
さらに、廃棄物を起点としたエネルギー創出は、都市と農村、先進国と途上国の間にあるエネルギー格差をも超えていける手段だと確信しています。どこにでもある「ごみ」から、どこにでも必要な「エネルギー」を生み出す。この技術は、グローバル・イコライザーの役割を担えると考えています。
私は、未来を「予測する」ために事業をしているのではありません。未来を「創る」ために行動しています。誰もが無理だと言うこと、誰もがやりたがらない領域にこそ、大きな変革の種がある。その価値を見出し、構造化し、世界に届ける。それが私の責務であり、生き方です。
若い世代に伝えたいことがあります。それは「人と違うことに、躊躇しないでほしい」ということです。私は常に“反対側”を歩いてきました。だが、その道の先には誰も見たことのない景色が広がっていました。そして、その景色こそが、世界を変える起点になります。
私たちの合言葉は、「Make the move. Make the action for the future.」未来の地球と未来の子どもたちのために、私はこれからも歩みを止めません。誰かがやらなければならないのなら、私はその「誰か」でありたいのです。

CEO HORIZON – AKI NISHIKAWA
https://time-ceohorizon.com/nishikawa_aki/
